自然科学コース
自然科学全般にわたる幅広い知識と健全な判断力を有し,科学でもって地域の発展に寄与する技術者,研究者,教育者の育成をしています。
コースの概要
生命科学,物質科学,地球科学など幅広い自然科学の理論と地域社会の発展に資する科学技術を総合的に学びます。教育課程では,物理,化学,生物,地学の各基礎分野の講義と実験科目を配し必修としています。これらの基礎の上に,知識を深化させる科目として,量子論,分子構造解析,環境生物学,宇宙科学等を設け,さらに各分野の融合科目や,専門性を社会に還元する科目によって,自然科学の"実践力"を養います。
学ぶこと
自然科学コースでは,教育目標に基づく人材を養成するために, 以下のような方針に基づいてカリキュラムを編成しています。
- 教養教育科目によって視野を広げ,社会性を身につけるとともに,さまざまな情報を適切な方法で活用し,地域社会や国際社会で活躍できる情報発信力を養います。
- 自然科学全般の基礎的な知識を涵養するために基礎教育科目を,基礎的な実験技術や応用技術,コミュニケーション力を修得するために展開科目を設定します。
- 各自の興味関心に基づいて自然現象を科学的により深く理解し,それを分析し応用できる能力やプレゼンテーション能力を高めるために専門教育科目を設定します。
- 卒業研究を通じて,自然科学に関する知識を活用し解決すべき課題に取り組むスキルの獲得を図ります。
- 自然科学を探求する者としての責任感と倫理観を培います。
養成する人材像
総合的な自然科学の基礎知識と活用能力をもち,それを理工学的視点から地域社会の発展に応用することができる科学者,技術者,教育者,研究者。
Pick Up 研究テーマ紹介
長屋 智之 教授
研究テーマ 液晶系における非線形動力学に関する研究
概要普通の物質は,温度変化に対して固体,液体,固体の状態を移り変わりますが,細長い棒状の形をした液晶物質は,液体と固体の間で「液晶状態」という特別な状態になります。ネマチックと呼ばれる液晶状態では,棒の方向がほぼ一方向に揃っています。揃っている方向とその垂直方向の屈折率が違うため,光が伝わる速さが偏光方向によって違います(複屈折)。また,棒の重心は液体の様に無秩序に分布していて,液体の様に流れます。そのため,液晶はとても柔らかく,揃っている方向を電場や磁場で容易に変えることができます。複屈折と柔らかさがあるからディスプレイに応用できます。液晶は光学デバイスに応用できる有用な物質ですが,基礎科学の観点からも非常に興味深い物質です。液晶をガラス板に挟んで電場や磁場を掛けると,様々な面白い模様(パターン)が現れます。そして,条件を変えるとパターンが多彩に変化します。このパターンの出現と変化の理由を理解することは基礎物理学の重要な研究課題です。本研究室では,この様な液晶系で出現する様々なパターン形成現象の研究を行っています。液晶独自の面白い発見もありますが,時として液晶に関係なく普遍的な物理法則に関わる重要な発見をする事があります。本研究室では,液晶実験の為の電子工作,機械工作,測定や解析のプログラム作成も行うので,実験を通じてもの作りの基礎も学べます。
関連した研究成果
Tomoyuki Nagaya, Yuki Satou, Yoshitomo Goto, Yoshiki Hidaka and Hiroshi Orihara, "Viscosity of Liquid Crystal Mixtures in the Presence of Electroconvection", J. Phys. Soc. Jpn. vol.85 (2016) 074002.
Takayuki Narumi, Yosuke Mikami, Tomoyuki Nagaya, Hirotaka Okabe, Kazuhiro Hara and Yoshiki Hidaka, "Relaxation with long-period oscillation in defect turbulence of planar nematic liquid crystals", Phys. Rev. E vol.96, (2016) 042701.
- その他の研究テーマ
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- 「光導電体を用いた局在化液晶電気対流のダイナミクス」
- 「液晶空間光変調器を用いた光ピンセットの構築」
- 「自己電気光学効果素子結合系におけるダイナミクス」